仏教説話

9月・看病

お釈迦様が祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)におられた時のことです。
 お釈迦様は毎朝、托鉢(たくはつ)に出かけ、その後、自分の部屋の中や森の木の下で、
静かに座って瞑想されました。
時々、お弟子さんや、お参りに来た人々の為にお説法をされました。
また、散歩をしたり、お弟子さん方の様子を見てまわられることもありました。

 ある日のことです。
 お釈迦様は、祇園精舎の中に とても汚い部屋があることに気がつかれました。
変な臭いさえしてきます。
 不思議に思って部屋の中をご覧になると、お弟子さんが一人、「うんうん」うなりながら
寝ています。大変苦しそうです。
 お釈迦様は中にお入りになって
「いったい、どうしたのだ?」
と、おたずねになりました。
 お弟子さんは答えました。
「はい、お腹が痛いのです。」
「誰も看病してくれないのか」
「はい。でもそれには訳があります。私はわがままで、仲良しの人が一人もいません。
他のお弟子様方が困っていても、助けてあげたことがありません。だから私が病気に
なっても、誰も見舞いに来てくれないのです。」
 お釈迦様は、いつもお側にお仕えしているお弟子アーナンダに手伝わせて、
そのお弟子さんの衣を洗い、部屋の掃除をし、体をさすっておやりになりました。
 お弟子さんはどんなに嬉しかったことでしょう
 
やがてお弟子さんは元気になり、それからは他のお弟子さん方と仲良くして、
立派なお弟子さんになられました。
                                    終